大沼 朝未 さん

大沼 朝未 さん

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青山学院大学大学院 理工学研究科理工学専攻化学コース。「リケジョ製作所」所員兼アドミニストレーター、メディアのリケジョ特集登場多数

■ 大沼朝未さんのこれまでの主な活動

〇学内/研究
研究室 : 生体機能分子合成研究室(杉村秀幸教授)
研究テーマ : 置換アリルシランを用いたテトラシドロフラン環形成反応による「興奮性アミノ酸ダイシバーベインの全合成」

〇海外留学履歴
・「TransPacific Hawaii College」、ならびに「Hawaii Tokai International College」 2008/4-2009/12:アメリカ合衆国ハワイ州
・「University of Oregon」 (General Chemistry) 2010/4~12/12:アメリカ合衆国オレゴン州

〇学外活動
○理系女子進路応援サイト『Rikejo(リケジョ)』(講談社)
「リケジョ製作所」所員兼アドミニストレーター(2013/3~)
子供向け理科実験体験「アインシュタイン・ラボ」レポーター
白衣メーカーTHSとのコラボによる白衣PR
“ハンサムウーマン”になるための秘訣を探りに行ってきました!(2014/1/16)
ひみつの元素ちゃん~酸素編~(2014/2/19)
・・・その他、プロジェクト担当・取材レポート多数

〇TV・メディア出演
フジテレビ「ジェネレーション天国」の『リケジョ特集』に登場 (2014/01/20)
フジテレビ「めざましテレビ」『ココ調』(2014/2/25)
週刊現代(2014年2月22日号)特集グラビアページ『美しき「リケジョ」図鑑』
・・・その他、理系女子特集に多数登場

〇その他
「Cross Mentorship」(「学生と一流社会人との1対1の密な対話」と、「同世代のコミュニティ形成」をテーマとしたプログラム) 運営サポーティングスタッフ

■ 大沼朝未さんインタビュー

【1】「英語を使う生活がカッコいい」が出発点

子供の頃から、母親が堪能な英語を使って外国の人たちと会話しているのを間近で見てきて、「何てカッコいいんだ」って。かなり洗脳されて(笑)育ってきました。最初はまだ小さい頃のことでもあり、「英語を使って何をするか」とかまでは考えて無くて、ただ単に「英語を使ってることそのもの」がカッコいいことだと。

だからずっと「英語を話せるようになりたい」「海外に行きたい」と思っていたし、周りにも言い続けていて、知らず知らずの間にそれが私の進路の軸になっていきました。

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そして中学と高校の時、それぞれ3週間ほどアメリカのコロラド州に短期留学して、それが凄く楽しくって。「またもう一度今度はもっと本格的に!」と、高校卒業後、アメリカの大学に進学することにしたんです。

周りに海外進学する同級生は殆どいなかったのですが、私にとっても周りの友達にとっても、ほぼ「既定路線(笑)」。ですから、特別なことをしているという認識は全くありませんでしたし、母親も快く送り出してくれました。

留学生活は「TransPacific Hawaii College」からスタートしたのですが、何とこの学校が途中で閉鎖されてしまって。そこで同じハワイの「Hawaii Tokai International College」に編入し、その後、オレゴン州の「University of Oregon」に入学しました。

しかし4年間のカリキュラムを3年で終えなくてはいけなかったので、こなさないといけない勉強量は凄く多かったですね。そもそもが「アメリカの大学に行きたい」というそれだけのシンプルな訪米だったので、「留学生活どうだった?」と聞かれたら「単位を取るのに精いっぱいだった」と答えるしかないかなあと(笑)、そんな毎日でした。

【2】海外留学で、自信とコミュニケーション力が身についた

ただ、その勉強は全然苦ではなかったですよ。アメリカでは「General Chemistry」を学んでいたんですが、周りに日本人はいなくて、ネイティブのアメリカ人と同じレベルを求められるため、図書館に缶詰めや、徹夜とかが週に何度もあったり。そんな大変な毎日ながらも、好きで選んだ科目でしたし、ごく当然に貪欲に勉強していました。

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その分卒業の時はかなり達成感があって、「自分もやればできるんだなあ」って、理学士号の卒業証書を見つめながらしみじみ感慨にふけったり(笑)。そして自分に少し自信がついた気がします。

もう一点、海外生活で得られた大きな財産が、積極的に人とコミュニケーションがとれるようになったことです。多様な人種や文化が入り混じる世界にずっといて、そういう人との交流や未知の価値観に対する気づきが楽しくなってきて。良い意味で自分の小ささや世界の大きさを知り、自分の自我が目覚めたというか貪欲さが増してきたんです。

いまはちょっと出しゃばり気味だったり(笑)、ズケズケとモノを言ったり、そんなイメージを持たれていることが多そうな気がするのですが(本当は繊細なんですけどねw)、子供の頃は本当に自分に自信がなくて。周りの同級生には、人前で話すのが本当に得意な人がいて、いつも「羨ましいなあ」「悔しいなあ」って。「私には知識も無ければ表現力もない。伝えたいことがあっても思うようにならない」そんなジレンマがいつもありました。

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でも当時の私は、コンプレックスだらけのわりには、少し気負っていたというか、自分の価値をもっと高めたいという願望や、周りの期待にしっかり応えられる人間になりたいという自負が強かったんです。ですから余計に積極的に人と関わることができず、何となく内に籠って自分を追いつめがちだったんです。

しかし5年間の海外生活で、人と接することや自分自身への捉え方も自然体でアグレッシブにできるようになり、そういった葛藤のかなりは払しょくされました。これは私にとって本当に貴重な経験になりました。

【3】母親の母校で大学院生活をスタート

この春から、5年ぶりに日本での生活がスタートし、青山学院大学大学院の理工学研究科に進学しました。青学は私の尊敬する母親の母校でもあって以前から興味があったのですが、さらに「難易度の高い専門的な英語を使って自分の研究できそう」とか、「研究室の雰囲気、設備、交通の便の良かったこと」「教授のサポートが厚く、ここでなら2年間楽しみながら有意義に研究に専念できそう」などと感じて、進路として選びました。

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大学院への進学はかなり以前から決めていました。高校生の頃に理系を進路に選んだときは、ただ単に「国語と社会が嫌いだったから」「だから理系に行くしかない」とそんな感じだったのですが(笑)。でも実はスキンケアには以前から興味があって、自分の肌が荒れていた時は自分でどうしたら改善できるか研究したりもしていて。そして大好きで尊敬していた恩師が化学の講師だったこともあり、専門は必然的に化学を選ぶことに。

そして将来、化粧品会社などで実際に研究開発者として製品を作るためには、さらに専門的な知識・技術を身につけることが重要であると考えて、院進学を決めたのです。

いま研究しているテーマは、(置換アリルシランを用いたテトラシドロフラン環形成反応による)「興奮性アミノ酸ダイシバーベインの全合成」です。この物質はその毒性要素を活用して、中枢神経のシナプス伝達に作用する化合物やそのメカニズム解析に広く用いられているもの。そしてこの合成をより短いステップで効率的に低コストで実現できるようにしようというのが、研究の狙いになります。また、合成のもとになる物質は海洋生物の中に存在するものなのですが、同じ化学の分野でも自然界にある天然物・有機物を活用したものに私は興味を持っています。

研究を詳しく説明しても、なかなか関心持ってもらうのは難しいですが、でも化学の実験ってとても面白いんですよ。例えれば、料理みたいなものと言えるかもしれません。

料理の味が、素材や調味料の組合せや量、また調理時間の配分などで大きく変わるように、実験においても、使う物質をどう組み合わせるかや、温度や時間その他の環境をどうするかで結果は大きく異なります。そして非常に理にかなったかたちで再現性高く結果が出るのも似てる。そう考えると、実験で着る白衣はエプロンと言えるでしょうか(笑)

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それとアートとの近似性も興味のある部分です。私の関心の大きな対象は化学ともう一つアートがあって(本当はもう一つ、ディズニーもw)。人に自慢できるほどのものではないのですが、ちょっとしたイラストを描いてプレゼントしたり、絵画や音楽などアートの世界はとても好きなんです。

そして化学の実験は、そんな大好きなアートに繋がる部分があると思っているんです。余分な作業や機器を減らし、よりシンプルで効果的な実験のカタチを追い求めることは美の追求に近く、良い実験がもたらす結果はとても反応美しいもの。どこまで共感いただけるか分かりませんが、私はそんな風にいつも感じています(笑)

無数の組合せの中から、この子たち(分子などのこと)がしたいように、それをこちらで理解し反応させてあげる。その結果、原理原則にのっとった忠実な結果をもたらし、一方で新しい可能性を生み出していく。これってとっても面白いと思いませんか?

【4】理系女子の持つ可能性、魅力をもっと多くに人に伝えたい

このような化学の世界の面白さ、もっと広く理系という生き方の魅力、それは私自身後輩にも伝えていきたいと思っていて、帰国以降、講談社が手掛ける理系女子応援サービス「Rikejo(リケジョ)」でお手伝いをさせていただいています。

「Rikejo」では、理系を目指す女子中高生のために、理系進路選択に関する様々な情報(職業、大学、悩み相談など)を、WEBサイト、イベント、雑誌などを通じて提供しています。

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私はその中で、企業コラボをはじめとするさまざまな企画や体験リポートなどに登場し発信をする「リケジョ製作所」の所員(約10名)として、そのセンターポジションのような場所(笑)にいつつ、主催者とメンバーを繋ぐアドミニストレーターをしているんです。

具体的な活動としては、子供向けの理科実験を楽しく体感できる「アインシュタインラボ」のレポーターや、日本最大の白衣メーカーであるTHSさんとのコラボによる白衣プロモーション。最近では新たに「ひみつの元素ちゃん」というプロジェクトも進んでいたりと、いろいろな経験をさせていただいています。まだこれからも色々な活動を手掛けていきますので、ぜひ「Rikejo」のホームページも一度ご覧になってみてください。

このような活動をしながら、理系に進もうか悩んでいる、もしくは既に理系に進路を決めた後輩たちに伝えたいのが、「理系学生って凄く可能性に恵まれているよ」っていうことです。

どうしても理系というと「地味」とか「限られた狭い範囲で生きている」といった閉鎖的なイメージがあったりします。でも例えば理系からの文転は多々あれど、逆は滅多にないですよね。また就職も、「問題解決能力」などの理系の思考や論理力を期待されたり、理系であること自体がプラスになっていることも多くあります。もちろん大学院などに進学して興味のある分野を極めるのも素敵なことですし、みなさんが思っている以上に、自由度や選択肢が大きいキャリアプランだと思うんです。

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そんな「可能性の広さ」は是非知って欲しい。ですから私は「何をやればいいか分からないけど、とりあえず理系に」くらいに考える人が増えてもいくらいじゃないかと思うんです。

もちろん、テストやリポートが大変なことは多いので、そういう覚悟はしてください。そしてその忙しい時間を縫ってさらに、趣味とか熱中できるものをもう一つか二つ作ってほしい。そういった複眼での興味の両立ができると、理系であることの強みがより生かせるのではないかと思っています。私にとってはそれが化学とアートとの両輪(+ディズニー)なんです。

【5】未知なものであるほど、自分の可能性を試す場になるし、やりがいもある

人それぞれが持っている経験や可能性を、みんなで共有し高めあっていく環境、そういった出会いの場は私自身非常に魅力を感じていて、その目指すものに共感しお手伝いさせていただいたのが、「Cross Mentorship (以下XM)」という活動です。XMは「学生と一流社会人との1対1の密な対話」と、「同世代のコミュニティ形成」をテーマとした取り組みをしており、特に「1on1 session」という1対1で聞く・話す力を育てる約30分の‟濃密な“真剣対話をするプログラムがキーコンテンツとなっています。

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私は学業との兼ね合いもあり、正規の運営スタッフとしては参加できなかったのですが、プログラムの紹介、推薦などのプログラムPRや、特に第二期(2013年7月~)においては、企画会議や選考会などの打ち合わせから、プログラム当日まで、幅広く参加し、スタッフのみんなとワイワイ言いながら頑張らせていただきました。

一方で、エントリーしてくれた学生2名と面接時に行った「1on1 session」などの機会を通じて感じるものもたくさんありました。どちらの学生からも後日、私との1on1で得るものが大きかったと後日教えてくれたんです。「あさみさんと話せたから、完璧と思っていた自己分析をもう一度イチからやり直すことができた」「自分の一番やりたいことを見つけるキッカケを与えてくれた」など、少しばかりですが良い‟気づき”となるアドバイスはできたのではないかなと感じました。

その結果をどう活かすかは、最終的に自分次第、人それぞれなのですが、そういったの‟気づき”、すなわち行動スタート前の言わば着火剤は本人の気づかないところにたくさんあると思っていて、そこは第三者の目だからこそ伝えられることがたくさんあるのではないでしょうか。

日々何気なく目にし出会うあらゆるものに、その必然性や価値が存在し、そこから学べることは非常に多いということ。そういう想いを伝え感じ取っていただいたことは、私自身にとっても良い気づきの場になりました。

さらにここでは、カウンセリングに近いコミュニケーション能力を学ぶこともできました。相手の話を聞く力、‟本心・本音“を聞き出すための的確な質問・アドバイス。これらはできるだけ多くの人と本音で話をし、意識的に‟聞く力”を鍛えることで身に付くものだと思います。私もまだまだ勉強中の身ですが、将来こういう力は身に付けたいと常々思っていたため、今回はその貴重な経験をさせていただく機会にもなったのです。

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まだ帰国後半年ばかりですが、おかげさまでこのようにさまざまな学びの場やチャレンジの機会をいただき、非常にありがたいと思っています。もちろん今の私にとっての最優先は学業で、そこは本末転倒にならないようにしないといけませんが、でも未知の世界にトライしていくことは常々意識しています。

人間の興味とはその事柄の情報や知識があってこそ生まれるもの。現時点ではただ無知が故に関心がなかったことでも、ひょっとしたらそれが私のその後の人生の根幹をなすものに化けるかもしれない。それを先入観だけで判断し見捨ててしまい、その可能性を消すのはもったいないと思うのです。そして未知なものであるほど、自分の可能性を試す場になり、やりがいもあります。そういった意味でも未知の分野への挑戦は、これからも続けたいと思っています。

加えてその中でも、将来は美容関係の仕事に就こうと思っているので、美的センスを鍛え、芸術的知識を得ることのできる活動には、(それが直接美容分野であるかないかを問わず)より注力していくつもりです。

そしてそういった新しく何かを始める・手がける場合、その道で成功している知り合いに片っ端からアドバイスを求め、彼らのスキルを盗む覚悟で質問攻めをするのが私のスタイルです。そこは遠慮することなく (笑)。その代わり、自分自身がしっかり成長することで恩返ししていこうと。今度は私が次の世代へのロールモデルになれるように。その気持ちはいつも大切にしています。

■ 大学院卒業を迎えて (2015年3月30日追記)
                         
彩才兼備に登場させていただいたのが、日本に戻ってきて青学の大学院に入学した年の夏のこと。それからもう2年近く経ち、学生生活も最後を迎えることになりました。

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大学院生としての2年をあらためて振り返った時、終始軸にあったのが講談社の「リケジョ」での活動です。理系女子という自分本来の立ち位置のまま、未知の世界にたくさんチャレンジできたのは貴重な機会でした。

最近では、リクルートテクノロジーズさんとのコラボで「Newガジェットデザインプロジェクト」を行っています。私は以前からアクセサリーデザインに興味があって、それを理系らしく、ウェアラブルデバイスを生かした形でのプロジェクトということで、すごく楽しめました。またテレビをはじめ、さまざまなWebメディアでも取り上げられ、大学生活&リケジョ活動の集大成とすることができました。

リケジョアクセサリー
※写真一番右が、朝未さんのチームがデザインしたアクセサリの一部。中ほどは日経MJの紹介誌面

いっぽうで、この彩才兼備に出たことも、大きな転換点となりました。ちょうどこの頃から「理系女子」に対する注目が集まり、さらにはSTAP細胞の大きな話題もあったり、良くも悪くも「リケジョ」は脚光を浴びました。そしてテレビや新聞・雑誌で「理系女子」の特集企画がたくさん生まれ、「彩才兼備を見て」という取材依頼がすごく増えたのです。

メディアに出ることは一長一短あるかと思いますが、「理系女子」が注目されることは良いことだと思っていましたし、ポジティブに紹介してもらえるなら、依頼に応えるようにしていました。「女の子ももっと理系に興味を持ってほしい」そういった思いを込めて。

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例えば高校生の方で「朝未さんに憧れて理系を目指すことにしました」と言ってくれた方がいました。これはすごく嬉しい言葉です。

自分自身まだ何も実績があるわけではないですが、少しでも次の世代にいい影響を与えたいという思いだけは強くあります。周りの方からも「後輩の見本になれるような存在になれ」という言葉をいただいたりしますし、そこは少し自負を強く持っていたいと思います。

この春からは社会人としての生活がスタートします。まずは社内で実力をつけていくことが最優先ですが、その中でも自分が後輩のために何か役に立てる機会があれば、その期待に応える存在であり続けたいですし、そのためにも自分らしい強みや武器を少しずつ形づくっていきたいと思っています。

【参考】「Newガジェットデザインプロジェクト」※プロジェクト概要はこちら
~ 主なリリース ~
・CNET japan 女子大生が考えた“オシャレなウェアラブル端末”–写真で見る
・Fashionsnap 女性向けスマートアクセサリーがトレンドに? 現役”リケジョ”が提案
・THE BRIDGE デザイン・機能ともに女子大生のために徹底して考えられたウェアラブルが10種類のバリエーションで登場