古井 千景 さん

古井 千景 さん

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名古屋市立大学 人文社会学部現代社会学科。「おへマガ」2代目編集長、東海若手起業塾事務局、「恵那峡レイクサイドマルシェ」実行委員会

■これまでの主な活動 
                                
・岐阜・恵那山麓ローカルメディア「おへマガ」2代目編集長
東海若手起業塾 事務局スタッフ
「恵那峡レイクサイドマルシェ」実行委員会
 
■インタビュー 
                                      
【1】地元の人が”いいね!”と言える地元にしたい!

これまで4年間の大学生活の中で感じてきた、さまざまな思いの集大成であり、今後目指すべき私らしさの追求の一つの形としてチャレンジしたクラウドファンディング。おかげさまで当初予定金額の30万円は、開始から6日間で達成し、ネクストゴールに置いた40万円をも超える非常にありがたい結果となりました。

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ご協力いただいた方々はなんと121名。金額の達成ももちろんですが、それ以上にこれだけ多くの方に共感、応援いただけたことは、感謝という言葉では言い表せないほど嬉しく思っています。そしてこの間、一緒に走り抜けてきてくれたスタッフの皆さんにも、あらためてお礼の言葉を伝えさせてください。

もちろん実際の開催はまだこれから。ご協力いただいた方々に心から楽しんでもらえるように、最後の最後まで気を抜かずに準備に取り組んでいきたいと考えています。

今回取り組む「恵那峡レイクサイドマルシェ」は、岐阜県の恵那市・中津川市に暮らす私たちが「地元の人が”いいね!”と言える地元にしたい!」をコンセプトにスタートしました。

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舞台は、恵那市を代表する観光地「恵那峡」です。

恵那峡と聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。かつては、この地を代表する観光地の定番としてにぎわった場所なのですが、今若い方たちとお話しすると「名前は聞いたことがあるけど、行ったことのないスポット」になっているのを感じます。

その恵那峡をあらためて私たちの手で盛り上げていきたいという思いを原点に、もう一つ「私たちと同世代の若い人たちが遊びに行く場所を作る」その舞台として恵那峡を選びました。その二つの意味合いがこのプロジェクトにはあります。

開催予定日は、2019年3月31日(日)の10:00〜15:00。恵那・中津川の人気グルメや雑貨店のブースが 15店ほど出店し、ヨガやダーツなどのアクティビティ体験や、インスタコンテストも行います。恵那峡が舞台であることを最大限に生かして、恵那峡遊覧船屋形船やカヤック乗船体験なども実施します。※詳しくはこちら 

多くの方にご協力いただき、非常に魅力的な企画が出来上がり、私自身もワクワクして当日を待っているところです。

【2】都会と地方、いずれにも大きな魅力がある。ベクトルの方向が違うだけ

このように、私は今でこそ恵那・中津川の街が大好きで、「地元のために地元の皆さんと」という思いで活動を続けていますが、以前は必ずしもそうではありませんでした。

若いころは誰もが同じかもしれませんが、都会にあるモノこそ素晴らしく、そこで働くことがカッコいい。より大きく華やかなものこそが凄い。そんな認識だった気がします。

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私は子供のころ、ある種活字中毒みたいな人間でした。図書館の本は当日に読み切ってしまうし、家にある本も何十回と繰り返し読む。ご飯の時も、ふりかけの裏の成分表示に見入ってしまう笑。

必然的に新聞という存在に関心を持ち、新聞記者の仕事に魅かれていきました。こうやって自分の文章で、知らない世界を見せられたら、世の中の人を動かせたら、どれだけ素晴らしいだろうと。

しかし大学に入ってしばらくすると、そういった思いの原点はそのままに「その手段はもっと多様な形があるのではないか」そう感じるようになったのです。

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一つのきっかけが、1年生の終わりの春休みに開催された「地域ベンチャー留学」の説明会に参加したことです。その時は「暇でやることなかったから」くらいのノリだったのですが、同じ岐阜県(大垣市)の大橋量器さんのお話を聞いて「目からうろこ」だったんです。

実は大垣市は桝の国内最大の産地で、中でも大橋さんのところは従来の桝づくりの技術を活かしながら、全く新しい可能性を次々と発信しています。世界からの注目を集めている企業でもあります。

都会でなくても、大きな会社でなくても、昔から続く事業でも、今までになかった価値をつくり出すことができる。いや、地方だからこそ、昔から続けていることだからこそ、都会のベンチャーにはできないことがある。

どちらがいいとか悪いとかではなく、全く違うベクトルがあることに気づいたのです。そして「だったら地元で」「地元に誇りを持てるような、持ってもらえるような活動がしたい」と考えるようになりました。

【3】「自分がやりたいことを自分で手掛ける」という発想

もう一つ、私の価値観の転換において「東海若手起業塾」の事務局のお仕事をさせていただいたことがあります。ここでは、広報、SNS周り、資料作成、イベント開催などにかかわってきているのですが、その中で多くの起業家にお会いする機会がありました。

取り組みはさまざま、生き方も考え方も多種多様。そういう出会いの中で、以前は「大きいものこそが正義」という価値観に縛られていましたが、ニッチさゆえの価値があること。そして自らの思いに忠実に、やりたいことを自分の手で仕掛けていくことの魅力を感じるようになりました。

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また2年生の春に、岐阜・恵那山麓ローカルメディア「おへマガ」を運営するNPOの方とお会いする機会があり、お手伝いをするようになりました。

この団体は、もともと「着地型観光」を切り口に、紙媒体を発行していたのですが、より多くの人に発信できるようにWebメディアをつくろうと、立ち上がったのが「おへマガ」です。そして2年間ほど取材や編集にかかわる中で、ごく自然に2代目の編集長として運営を手掛けるようになりました。

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このメディアでは、地元で働く人のインタビュー、お店やイベントの訪問レポート、イベント企画の案内などを柱に、ライターの方々が各自の関心や思い入れに合わせて、幅広く情報を発信しています。

以前、岩村の街が朝ドラ「半分、青い。」のロケ地として注目を集めていた時に出した、『朝ドラ「半分、青い。」のロケ地恵那市岩村町のおすすめスポット5選』の記事は、検索でかなり上位に表示されたため、びっくりするほどのアクセスになることもありました。

記事を書いていて、やっぱり嬉しいのは「掲載されていた店に行ったよ」「載ってたお店のランチ美味しかった」とか、ダイレクトに反響が返ってくること。

「千景ちゃん、お店よく知っているだろうからアドバイスして」とか「今度案内して」などと言っていただけることも多く、必然的に恵那・中津川エリアのお店には、取材だけでなくかなり頻繁に訪れるようになりました。

【4】人それぞれに感じる魅力の違い。その多様性を大切にしたい

大学の所在は名古屋のため、名古屋のお店を回ることもよくありましたが、「メディアで有名な人気店」が、それほどの内容ではないことは少なくありません。

それに比べると、地方のお店は知ってもらえればその良さを感じてもらえるお店がたくさんあるのに知られていない現状がまだまだあります。そんな思いも、メディア運営を手掛けるモチベーションの源泉にあります。

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一方で、その魅力は画一的なものでなくてもいいとも思います。恵那・中津川あわせて人口は約13万人。生まれた時からずっと住んでいる人がいて、最近移住してきた人がいる。年齢も性別もお仕事も多種多様な方がいる。皆さんそれぞれに感じ方が違って当然ですし、それだけ多様な魅力がある。

例えばこの地で有名な銘菓である栗きんとん。実は作っているお菓子屋さんはとてもたくさんあるんです。一見すると皆同じようですが、食べてみると独自の個性がある。甘さや栗の量など、少しずつの違いの積み重ねが店の味になり、その味それぞれにファンがついていく。そんな多様な魅力を、発信できたらいいなと考えています。

そしてできれば、その魅力を私より年下の世代にも伝えたいですね。実際、私自身を振り返っても、高校生時代に地元に関心を持つ機会は殆どありませんでしたし、ハードルは高いかもしれません。

でも「古井さんの活動について知りたいんですが」と、訪ねてくれる子たちもいて、そういう子たちと話をしていると、「なぜ地元に残って働いているのか」「移住する人が増えているのはなぜか」そんな話題の中から、地域の魅力を感じようとしてくれる時があります。そういう日々の積み重ねは大切にしていきたいですね。

少しでもこの地の魅力を多くの方々と共有できるように。「おへマガサポーター」の輪も広げていきたいと思っていますので、ご関心いただける方は是非お声おかけください。

【5】「これやったらおもしろそうだな」という感覚には、いつまでも忠実に

私は就職活動をしませんでした。「せっかく国公立大学に行ったのに」「新卒というブランドが使えるのは今だけだよ」などと意見されることも多かったのですが、そこに迷いはありませんでした。

むしろ「国公立大学を出たから」「新卒だから」、「こういう進路を取るのが当たり前」という考え方に縛られることに違和感がありました。「なぜ受験勉強をして、大学生になって、自分の人生の選択の幅を狭めてしまうのか」そう思ったんです。

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そもそも私の大学生活を振り返ったとき、いつも「1年前に想像していた未来と違う」私がいました。自分の未来なんてどうなることか予想なんてつかない。であれば、たかだか20年の経験から、その先数十年続く人生を決めつけてしまうのはもったいないような気がして。

今私は22歳。この年で、これほど地元のことを知っている人はなかなかいないという自負があります(いたら負けないように再度頑張りなおします)。一方で、地方にいたら40歳でも若者です。であればまだ18年間、じっくり積み重ねていく時間はある。

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いまは、「恵那峡レイクサイドマルシェ」に全力投球中ですが、まだまだしたいことはたくさんあります。例えば映画館とかちょっとおしゃれな宿泊施設とか。メディアって、必ずしも紙媒体やwebとかだけではなくて、建物でも他の何かでも代替できるものはたくさんあるはずです。

その可能性をたくさん試しながら、恵那・中津川の魅力を全力で発信し、この街に「いいね!」してくれる人の輪を、地域の内外問わず広く増やしていきたいと思っています。

「これやったらおもしろそうだな」という感覚には、いつまでも忠実でありたい。自分がいいなと思ったことを他の人がしたら、めっちゃ悔しいし笑。誰もやる人がなかったら永遠に何も形にならないわけですから、この地域の暮らしがもっと楽しくなるように、楽しみながら、悩みながらやっていきたいです。