上道 寛子 さん

上道 寛子 さん

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早稲田大学 基幹理工学部表現工学科。理系女子大生コミュニティ「凛」2期代表、「CanCam」はじめ理系女子特集に多数登場

■ 上道寛子(かんだちひろこ)さんのこれまでの主な活動

○ 研究テーマ
「特定領域への両眼視差の付加と注意・記憶への影響」(2013/6/1-2学会発表)
※大学卒業時に「基幹理工学部部長賞 優秀賞」を受賞

○ 学生団体活動 
・理系女子大生コミュニティ「凛」メンバー。2期代表(2011年4月~2012年3月) 
代表期の凛の活動参考※フリーペーパーの発行、凛カフェ/ランチグータンなどのイベント主催、企業取材、研究室訪問など
2011/5/18 全国女子大生ネットワークフォーラム プレゼンテーター


■ 上道寛子さんインタビュー

【1】凛の先輩の話に今まで考えたこともなかった可能性を感じられた

これまでの大学生活を振り返った時、やはり私にとって大きな思い出と言えるのは「凛」という学生団体の2期代表をさせていただいたことでしょうか。「凛」は正式名称を「理系女子大生コミュニティ凛」と言います。その名の通り、理系女子だけで構成された団体で、2009年の秋に発足しました。

女子大生の集まる学生団体はたくさんあると思うのですが、「理系女子だけ」に特化したものはそれまで殆どなく、立ち上げ当初から多くの企業や社会人の方にご関心いただいたと聞いています。私はこの凛に大学入学当初からお世話になりました。

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凛の存在を知ったのはフリーペーパーです。新歓で先輩方が配られているのを見て「大学にはこういう活動があるのか」って。そして同級生の飯田さんに「新歓イベントあるみたいだから行ってみない?」と誘われ、何となくふらっと(笑)

その時、ちょうどゲストとして来られていた、管理栄養士の木下あおいさんのお話を聞いて「何て素敵な人なんだろう」って感動し、凛を立ち上げた1期の先輩方の熱い想いを聞き、「大学生活って色々な可能性を持っているんだな」「理系であることを活かした活動ができれば素敵だな」って感じました。

実際に大学に通い始めると、予想以上に理系キャンパスに女性が少ないんです。私の学部だと1割くらいでしょうか。ですから、同じ理系女子の友達をもっと増やしたいという気持ちは強かったですね。既に学内のサークルにも入ろうと決めていたのですが、初めて東京に来て、大学生活が始まって、せっかくだから自分自身の持っている可能性を探したくて、凛を通じて学外へも目を向ける機会を作っていこうと思ったのです。

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ちなみに先輩方が凛の活動立ち上げ時に掲げたミッションは、以下の通りです。「大それたことを」と思う方もいられるかもしれませんが、私はこの考え方にとても強く共感しました。

・日本における製造業・技術力の低迷
・理系の軽視されがちなポジショニング
・少子化やイメージによって加速される理系人口の減少

この3点に問題意識をいだき、問題解決へ少しでも貢献していこうと学生には視野を広げ選択肢を見やすくすること、社会には理系学生のリアルな実態を発信していくことを目標としています

【2】凛の活動を引き継ぐことは、ごく当たり前のことだった

大学1年も終盤に差し掛かった頃、1期の先輩が引退を示唆するのを聞いて「私たちはこれからどうしようか」と話し合いました。その中でまず思ったのは「この活動は引き継ぐべきだ」って。それはごく当然に2期みんなの共通の想いでした。

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じゃあ次は「どういう体制で次年度以降を迎えるのがいいのか」ということになります。そこで考えたのが、「先にやるべき作業を可視化しよう」と。それを部署化して、みんなが何をするべきか決める。役割分担を決めるのはそれから。もっと言えば代表を決めるのは、一番最後でもいいのではないかと。

そこで、イベントを主体に手掛ける企画局、フリーペーパー制作を手掛ける広報局、協賛活動や外部との折衝を手掛ける渉外局、この3つの部署を核とした組織体系を作り、当時2期の中で中心的に活動していた4名で打ち合わせをしました。みんなそれぞれやりたいことを言い合い、担当が決まっていき、少しずつ方向性が見えてきました。

私はそれまで自分が代表をすることになるとは思ってもいませんでした。自分よりもっとふさわしい人がいると思っていましたし。でも話し合いが進む中、「寛子が代表にふさわしいんじゃない」と声が上がり、みんなからの「必ず寛子のサポートを全力でするから」の声に後押しされ、代表を受けさせていただくことを決めました。

【3】関わるみんなが全員、楽しくやりがいを持って活動できるように

私が代表として何よりも意識したのが、「関わるみんなが全員、楽しくやりがいを持って活動できるようにすること」です。そして企画や作業への意識よりもまずその前に、みんなが仲良くあること。

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理系の学生はレポートや課題や、学業に追われていることが多いです。その中での学外活動はややもすると「義務感」「やらされ感」に支配されがち。そして少しブランクができるとだんだん顔を出しにくくなったりします。ですからこまめにみんなとは連絡を取るようにしていました。少しでも参加しやすいように、興味を感じてもらえるように。

2期のメンバーは本当に仲が良かったと思います。凛の活動以外でも一緒にご飯を食べたり遊びに出かけたり、相談しあったり、そしてお互いを尊敬しあい、認め合っていた。それは活動の中身以上に、私たちの何よりもの自慢です。さらにその輪を広げようと思って始めたのが「ランチグータン」というイベントです。あらたまったテーマやゲストを囲んでではなく、もっと自然体で参加できるもの。凛をよく知らなくても気軽に参加できる場として開催しました。

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私にとっての凛は、特別な意識を持った特別な人の集まりではなくて、もっと普通の、でも成長意欲ある理系女子が、新たな一歩を踏み出したり、視野を広げたりするきっかけを作る場です。「今まで知らなかったことを知り、素敵な人に出会い、より人生に積極的になる」そんなコミュニティであってほしいと考えていました。

また凛にはたくさんの企業やメディアの方から声をかけていただきました。一期の先輩のみなさんが積極的に社会に出て、凛の認知を高めてもらったおかげですが、凛のアカウントには、提案や協力依頼やさまざまな連絡が毎日のように入っていました。もちろんその中でできることはごく僅かなのですが、このように多くの期待をかけていただける場にいたことはとてもありがたいことでした。

おかげさまで、CanCamにも理系女子特集の対談で出させていただきましたし、同じ凛のメンバーの追跡取材の一環で凛のイベントが紹介され、テレビにも登場させていただいたり。取材でも本当にたくさんの企業にお伺いさせていただきましたが、いつも快く迎えていただいたのは本当に恵まれていたと感じます。

【4】好きなアートの分野と理系的感性が融合した学問が学べる場

理系を進路に考えるようになったのは小学校の終わり頃からです。算数が好きだったからという単純な理由ではあるのですが(笑)。一方でアート的な領域への興味も強くて、エレクトーンを14年習ったり、書道教室に10年通ったり、映像なども好きでした。

私は兵庫県の出身なので、当初は関西地区の国立大学などを想定していたのですが、ある日先生から、今の大学・学部を教えていただいて。その中に表現工学科という学科があることを知りました。その内容を調べると、音の響きやその影響を考慮した空間設計などの音楽的なもの、アニメーションや立体映像などの映像分野などを学ぶ場があり、これはとても面白いと思ったのです。私が好きなアートの分野と理系的感性が融合した学問が学べると。そこですぐに今の学部を進路に選び、無事2年次からこの学科への配属が決まりました。

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私がいま研究しているのは、3Dの領域です。その中で2Dと3Dを融合させた、局所的な3D手法がテーマになります。例えば修士の先輩と共同で実験させていただいた具体的な例では、①全部2D、②全部3D、③変化する部分を3D、④不変化部分を3D、この4種類の変化映像を作成し、人間の認識や記憶にどう影響するかなどを調べました。

これによって、無意識にある部分に視線を向けて記憶に留めるといった効果が検証でき、教育や広告などのコンテンツに応用する可能性も生まれます。そして教授からお声おかけいただき、今年6月には「特定領域への両眼視差の付加と注意・記憶への影響」というテーマで、学会発表もさせていただきました。

でも結構大変でした。それまで経験ないことですから、学会論文の表現というものからまず学ばなくてはいけないし思い通りに文献が揃わないし・・・。当日も周りは教授とか院生とか見事に年上の人ばかり。ものすごく緊張しましたが(笑)、とてもいい経験でした。

私はそもそも研究が好きなんだと思います。何が面白いかと言えば、「自分が知りたいことを自ら動いて知ることができる」ということじゃないでしょうか。ですからついついのめりこんで、自分だけの世界に行っちゃったりするのですが(苦笑)

【5】あたりまえに頑張れる機会があることがとても嬉しい

私にとって「頑張る場所があること」は本当に嬉しいこと。そして「機会を与えてもらえることへの感謝」は、人一倍強いと思っています。それは「頑張りたくても頑張れない」という経験を小さいときに嫌というほど味わってきたからです。

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私は小さい頃、本当に病弱な子供でした。みんなが遊んでいる輪に入ることもできず、いつも遠くで見ているだけ。そして今でも痛切に覚えているのが、私が入院していた病院の前を、遠足に行く同級生が乗ったバスが通り過ぎて行き、そのはしゃいでいる姿を窓から見送っていた時のことです。本当に胸が張り裂けそうなくらいに辛かった。「なぜ私はみんなと同じことができないのか」と。

その後だんだんと健康を取り戻し、みんなの一緒に行動できるようになって、頑張る機会があることがどれだけ嬉しいことか、心の底から実感しました。多くの人にとってごく普通にあるたくさんのチャンスも、私にとっては今もあたりまえではない特別なこと。この気持ちは一生忘れることはないと思います。

そして支えてくれた家族。私が何かやりたいと口に出したら、全てその気持ちに応えようとしてくれました。「とにかくできるところまではやってみようよ」と私を奮い立たせ、自身は不安を押し隠し、一緒に頑張ってきました。ですから「周りの支えがあってこそ生きていけること」「その感謝はしっかりカタチに表さないといけない」ということもずっと意識してきました。

凛の活動を終えた後、インターンをしたり就職活動をしたり、社会人の方と関わりが多くなる中で、「上道さんは学生らしくないね」と言っていただく機会が増えました。初めはその感覚は良く分からなかったのですが、例えばメールや電話のレスポンスが早かったり、時間には早めに来たり、余裕もって準備を終わらせる癖があったり、そういうスピード感や、一つひとつの内容の几帳面さみたいなものを評価していただいたようです。

これは凛の代表の時にも、強く意識していたことですが、「一つひとつの与えられた機会にしっかり応えたい」「感謝の気持ちを大切にしたい」、そういった私の大事な価値観が知らず知らずの間に伝わっていたようで、とても嬉しく感じました。

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今までの活動を振り返ってみると、「忙しい」は何の理由にもならないことを感じます。確かにレポートや試験に追われることが多いのは事実なのですが、サークルでもインカレでもバイトでもプライベートでも、自分のやりたい気持ちに忠実になれば、自分の時間をコントロールできるようになってくるはず。丁寧さや礼節もおざなりになることはないはずです。ですからまずは「これは絶対やるんだ」という気持ちから入るのがすべてなのではないかと思うんです。

そして自分自身のチャレンジも全ては誰かの好意や協力があってできるという自覚も変わらず大事にしていきたい。これからどんな場所でどんな活動をするにおいても、私のこれらの原点は忘れることなく真摯に頑張っていきたいと思っています。


メディア紹介リンク

・「ハピテク」未来研究所インタビュー 3D映像の特性を科学的に分析中 生活に密着した身近な授業が面白い!
・「CanCam」2011年9月号にて団体代表として紹介。
・「CanCam」2011年11月号「理系女子特集」対談記事登場
※撮影風景参考 (水木ゆき菜オフィシャルブログより)
・カルチャーフリーマガジンSeel vol.12の女子大生団体代表特集に登場
・ガクセンインタビュー「企業と理系女子の需要と供給のマッチングで、学生の視野とネットワークを広げる」
・理系女子として生きる ~理系女子大生に聞け~No.3「上道寛子さん」