久保 帆奈美 さん

久保 帆奈美 さん

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慶應義塾大学環境情報学部。株式会社Morning Laboプロデューサー。「ワカモノのトリセツ」運営、「女子大生ほなみちゃんねる」連載

■ 久保帆奈美(くぼほなみ)さんのこれまでの主な活動

〇運営サイト/連載など
「ワカモノのトリセツ」 友人と運営しているワカモノの今を伝えるブログ
「Circle Squar」 慶應SFCのサークルまとめサイト立ち上げ
「女子大生ほなみちゃんねる」 株式会社オプトのメディア「kakeru」にて連載中
※関連イベントも開催

〇企業インターンなど
株式会社Life is Tech!(ライフイズテック)の生徒として、プログラミングに触れ、大学生になってからは、メンター兼運営として参加。Swiftを学び、iPhoneアプリをリリース。その後UI/UXデザインに興味を持ち、他社のデザイナーのインターンに複数回参加。
・サイバーエージェントの「DRAFT2018」に選出。
・「LINEバイト×撮影女子会」のイベント参加をきっかけに、社長に直談判をしにいき、株式会社Morning Laboでインターンをスタート。現在はプロデューサー

■ 久保帆奈美さんインタビュー

【1】「トレンドを追う」から、「トレンドを発信する」への意識の変化

みんなが喜ぶ笑顔を見ること、楽しんでもらえる場所を作ること。そのためにもまず自分自身がワクワクし、心から楽しいと感じる気持ちに忠実になること。これが私の日々のモットーです。

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もともと子供の頃からミーハーな性格で(笑)、社会で話題になっているもの、これからブレイクしそうなものなど、「トレンドを追う」のが大好きな女の子でした。

ただ当初は、追いかけていると言っても無意識のことで、明確に「自分がトレンドに興味がある」と自覚したのは、高校3年生。当時、学園祭の実行委員をしていて、その後夜祭を担当することになったときのことです。

ちょうど50回目の節目の開催でもあり、「ミーハーでイベント好き」な私としては、何としても後夜祭を盛り上げたい。そこで、過去の開催の映像をすべて繰り返し見て、どういう企画が女子高生に受けるのかとことん研究することにしました(高校時代は女子校でした)。

そこから導き出したのが、先生に関するネタと社会で話題になっているトレンドネタが強いということ。ただ、もう一つの傾向として、一部(特に上級生)の中だけで盛り上がる内輪ネタが多いことが少し気になりました。

ですから、上級生から下級生まで一緒になって盛り上がるためには、皆に共通な話題を中心に据えたほうがいい。それはやはりトレンドを柱にするべきだと考えたのです。

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ちょうど当時「アナと雪の女王」が爆発的にヒットしていたことから、その脚本を少しパロディ化した進行をしてみました。そうすると本当にすごく受けて、「やっぱりトレンドの力は大きいんだ」と実感したんです。

同時に、「トレンドを追いかける」だけでなくて、自らが主体となって「トレンドを発信すること」「みんなが喜んでくれる場所を作ること」の面白さに目覚めた大きなきっかけでもありました。

【2】ライフイズテックに出会い、プログラミングの楽しさを知った

現在通っている慶應義塾大学SFCには、中学生の頃から憧れをもっていました。プログラミングやデザインができて、校風も自由で新しい。私のミーハー心が満たされる場所(笑)だと思ったのです。ただ同じ内部生の友達は日吉進学を考えている人たちが殆どで、漠然と「通うには遠いかな」と少し引っかかった部分もあったりしました。

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それが払しょくされたのが、3年の夏休みにSFCで開催されたライフイズテックのイベントでした。「思ったよりも通える距離だな」と体感したことと、そこで会った先輩から「SFCは良いところだから、迷ったら絶対来るべきだよ」と親身にアドバイスされたことも大きなきっかけとなって、SFC進学を決心したんです。

ライフイズテックというのは、中高生向けのプログラミング教室などを開催している会社で、私のこれまでの人生において一つの転機になった場所でもあります。

きっかけはSFCでのイベントの少し前、高校生有志で参加したグーグルのオフィス訪問の「社会科見学」のときでした。ここで働いている人はみなキラキラ輝いていて、オフィスもきれいで私服だし、何か自由があふれていそうで素敵だなと。そう感じて、大満足だったその企画の最後に、ライフイズテックとグーグルのコラボがあったんです。それは「コードガールズ」という女子中高生向けのプログラミングの講座でした。

この時、私はプログラミングの魅力に取りつかれました。何よりも、自分のアイデアを形にできるという可能性にワクワクしたんです。

そこで引き続きライフイズテックで、Swift(iPhoneのアプリを作れるプログラミング言語)などのプログラミングを学んだり、大学時代には運営側にも携わるなどして2年生の夏くらいまでお世話になりました。

その過程で、例えばダイエットアプリなど独自のサービスを作ったりしました。これは高校時代からアイデアとして持っていたもので、友達と競争しながらダイエットに励むもの。

サークルスクエア

また、少し後のことになりますが、2年生の秋には慶應SFCのサークルまとめサイト「Circle Square」も、何名かのチームとともに立ち上げました。「SFCはいけてる大学のはず」なのに、当時サークルの案内が紙のものしかなく、これは是非とも必要だと。

現在も更新中で、大学の公認サークルは全て、非公認のものも希望をいただければ掲載し、随時情報をアップしています。

このように「こういうものがあったらいいなあ」と思っていたものを、単に空想で終わらせることなく自分自身で作り上げることができること。その楽しみを知り、また一つ自分の可能性に気づくことができました。

【3】大切な瞬間を素敵な写真として残すことの意義を知る

ただ一方で、2年生の夏頃、少し自分が見えなくなっていた時期がありました。いろんなことにチャレンジしてみてはいたものの、多くは周りから頼まれてしていた内容が中心。自分が本当にやりたくてやっているのか分からなくなってきたんです。周りの友達からも、「帆奈美の本当に好きなことって何なの?」と言われたり。「自分が身につけてきたスキルは何のためにあるんだろう」って考え込んでしまいました。

そこで、もう一度自分を見つめなおす機会を作り、自分が好きなもの、興味があるものを洗い出す作業をしてみました。

その結果やっぱりというか、核になるキーワードは「トレンド」。そして周りの人に喜んでもらうこと、特に「女の子に向けて」というのも大きなポイントでした。そこで関連しそうなイベント、勉強になりそうな企画に、いろいろ参加してみたんです。

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この時に出会ったのが、大学生活の後半の大きな柱となり、今も一緒にお仕事をさせていただいている株式会社Morning Labo代表の中村朝紗子さんです。

場所は、「LINEバイト」と「撮影女子会」(Morning Laboの事業の一つ)のコラボイベント。ちょうどハロウィンの時期でもあり、ハロウィンのおめかしをして、プロのカメラマンに撮影してもらうという企画でした。今までプロの方に写真を撮ってもらう機会なんてなく、貴重な経験だし楽しそうだなと思って、いつものミーハーなノリ(笑)で、姉とともに参加させてもらいました。

ここで写真というものの魅力や価値をあらためて実感しました。「これはとっておきの体験だな」と。ちょうど、成人式を目前に控えて”前撮り”をどうするか考えていたところだったので、閃くものがありました。もっといい写真の撮り方があるんじゃないかって。

実は、姉が成人式の撮影の時に不満を漏らしていたことを思い出したんです。そもそも写真を撮られ慣れてない子って、プロの方の前で笑顔やポーズを決めるのって難しいですよね。メイクや髪型も相手にお任せだったりで、自分はただ決められたようにそこにいるだけ。誰の写真もみな同じで、「盛れた」写真には程遠い。姉も「この写真は人に見せたくない」って言ってたんです。それなりに高いお金を払っているのに。

そこで私は、カメラが得意な友達に頼んで渋谷で撮影することにしました。せっかくなので姉も一緒に。渋谷を選んだのは、いつも登下校で通っているし、身近な遊び場だから。普段着の自分を出しつつ、はっちゃけた楽しい感じも演出できると思ったのです。

成人式s

結果的に、私が楽しんだだけでなく、姉もそして両親までもすごく喜んでくれました。人生のかけがえのない時間、思い出を素敵な写真で彩ること、これはみんなに喜んでもらえ、とても意味があることだと感じたのです。

そこで、これは事業になるのではないかと直感し、企画書を携え朝紗子さんのもとをあらためて訪れたのです。これをきっかけに、3年生の春からMorning Laboのお仕事に関わらせていただくようになりました。

【4】女の子同士の日常の何気ない会話自体に大きな価値がある

ちょうどインスタグラムがブームになっていて、「フォトジェニック」という言葉が、若い子たちだけではなく、企業の方にとっても重要なキーワードになっていた頃でした。そこで私は主に同世代の学生層にアピールしたい企業に向けて、「撮影」を軸にした企画を提案し、実現させていただいてきました。

私たちが得意としているのは、私たちが得意としているのは、企画の華になり「写真を撮りたい」「SNSにアップしたい」と自然に思ってもらえる体験の設計です。具合的には、フォトブースの設営やイベントのプロデュースなどです。商品や新サービスのお披露目の場面などで、多く活用されてきました。例えばJRAの女性向き施策「UMAJO」などでは、長くフォトブースを担当させていただいています。

私がゼロから立案したフォトブースの1つに、「Pinterest(ピンタレスト:写真共有ウェブサイト)」と、「SCANDAL(スキャンダル:4人組のガールズバンド)」のコラボイベントがあります。

これは、スキャンダルのニューアルバムの発売記念イベントでした(アルバムのビジュアルは、メンバーがピンタレストを使ってイメージをまとめたそう)。ピンタレストとスキャンダル、両方のファンが集まるということで、どちらのファンにも楽しんでもらえ、かつお互いに興味を持ってもらえる工夫を考えました。

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それが、ピンタレストの実際のWeb画面を模したフォトブースを作り、参加者一人ひとりがピンする感覚で好きな画面構成に都度作り替えて撮影ができるというもの。例えばスキャンダルのHARUNAファンは彼女の写真を嵌め込み、自分がそこに一緒に入って写真を撮る、などの楽しみ方ができるわけです。

私自身がずっとジャニオタだったり(笑)、アイドルを追っかける心理に当事者意識を持てるのも、こういう時に役に立ったりするのですが、このようにどんな時でも必ず「自分自身が行きたくなるか、写真を撮りたくなるか」「自分が本心から楽しむことができるか」という原点を大切にしています。そうでなくては、とても同世代の女の子たちに興味を持ってもらうことはできません。

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もう一つ、企業の方とお付き合いしていく中で「私たちの日常の何気ない会話」が大きな価値を持っていることに気づいたのも、そう考えるようになった理由としてあります。

「あの新商品いいよね」「あのサービスはいけてないよね」そういった会話は、女の子同士で日々当たり前に繰り返されている内容です。それはあまりに普通のこと過ぎて、企業のマーケティングに役立つなんて考えて話してはいません(笑)

でも担当者の方から見ると、その言葉の一つ一つに大きな意味があったりするんですよね。女の子たちのリアルな声を具体的に届けるととても喜んでくれます。作られた言葉ではなく、本心から出た言葉、何気ない一言、そのリアルさがとても大事。ですから私は、より素のままで本能に近いところで思考し行動することが、例え仕事の上であっても、皆さんの期待の応えることに近づいていけるのではないかと考えているのです。

【5】女の子たちが自然に写真を撮りたくなる風景を同じ気持ちで考える

最近はインスタグラムの中でも、ストーリーの人気が顕著に高くなっています。これも、より「リアルさ」を若い子たちが求めている一つの表れだと感じています。それはインスタグラムそのものの人気の秘訣としても、同じことが言えます。

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例えば、インスタグラムの料理の写真と、グルメ評価サイトに掲載されている料理の写真。女の子たちは、インスタグラムの写真を圧倒的に支持します。それは、料理そのものだけでなく、人物が写っていたり、その店の雰囲気なども同時に分かるから。その店に行った自分が想像しやすいからです。

内装のテイストや照明の当たり方などを見て、「この店に行くなら、どんな服を着ていくと映えるかな?」「白いワンピースだと盛れるかな?」。実はそんなことを考えてたりするんですよ。ですから、行きたい“場所”を探すための”検索エンジン”として、インスタグラムは非常に重宝されています。

私たちはそういった女の子心理を考えながら、どんな場所でどんな企画なら写真を撮りたくなるのか、みんなの心を満たすのか。さまざまな角度からとらえ提案しています。

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その3つのキーワードが、「語りやすい」「撮りやすい」「誘導」です(上図参照)。こちら側の都合ではなく、女の子の本当の欲求に合うかどうか、その点をとことん考えるのがポイントです。そして、参加者個々の見た目の雰囲気が盛れるのはもちろん、「一枚の絵」として、色や形や構図などのバランスの高い空間づくりにこだわることも大事です。

集客が必要な企画の際は、前日にインフルエンサーなどを招いてイベントをするのも効果的です。もちろん、彼女たちの発信力を生かして宣伝につなげる狙いもあるのですが、実は見落としてはいけないのが、先ほどの料理の写真でも説明したリアル(臨場)感。

彼女たちが、どんな服装で、髪型やメイクで会場を訪れたか。その様子を見ながら、自分のコーディネートを考える。そんな意味合いも強くあるのです。ですから、単に有名かどうかフォロワーが多いかではなく、インフルエンサー個々の世界観やファンからの求心度などを考えながら、どんな子に来てもらうのかもテーマごとに丁寧に考えています。

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ちょっと脱線ですが、先ほどの少し触れたインスタグラムのストーリー、デートのきっかけ作りにも重宝されているってご存知ですか?

例えば知り合ってlineの交換をします。でも、まだお互いをよく知らない時、デートの誘いの糸口ってなかなか見つからないですよね。その点ストーリーで、食べた食事や行った観光地などの写真が上がっていたら、共通の話題を作りやすいですよね。「ここ行ったことあるよ。ひまわりの花が好きなの?」「かき氷だったら、この店お薦めだけど今度行ってみる?」とか。女の子も、見て欲しいからアップしているわけだから、反応があると嬉しい。いい感じに出会い系サイトになっていたりもするんです(笑)

【6】「一人ひとりの生き方がサンプルになる時代」を何かしらの形でサポートしたい

お仕事を通じて、トレンドとかSNSなどに触れる機会がより増えたわけですが、その中で私は今、日頃の意識の中に二つの軸を置いています。

一つは昔からのまま、トレンドのど真ん中でミーハーであり続けることを楽しむこと。そしてもう一つは、一歩引いて社会のトレンドや周りの子たちの言動を俯瞰して眺め、言葉やカタチにすることです。その両立を実現することが、仕事において大きな意味を持つはずですし、逆に言えば、その意識のいずれもが強みになる仕事ができることは、非常に恵まれていることだとも言えます。

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私は来年の春から、社会人としてMorning Laboでお世話になることを決めました。大学の周りの子たちは、大手有名企業に行くことが圧倒的に多いですし、親の気持ちを考えたら、やはり安定した仕事に就くのがいいのかなと考えたこともありました。

でも、そういう周りの顔色を見て物事を決める生き方をしていたら、私が日ごろ語っていることとかけ離れてしまう。自分の本能的に直感的にワクワクできることに忠実であり続けたい。あらためてそう感じたのです。

先ほども話したように、私は若い女の子と一緒にトレンドの中に身を置くことが好きです。移り変わりが激しく、その時代その時代の情勢とか価値観をシンプルに反映している世界。そこに身を置いているのが楽しいんです。生きている実感がある(笑)

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ただそれはあくまでも今のことであって、将来はまた変わってくるんじゃないかなって思っています。その中で一つ考えているのが「カラフルな生き方をしやすい世界」を何かしらの形でプロデュースすること。

あらためて言うまでもなく、時代の移り変わりが目まぐるしい今、社会がこの先どうなっていくか誰にも分かりません。親の時代はもちろん、少しの年齢の違いでも大きな意識のギャップがある。そういう社会で、親や社会の当たり前を絶対と思ってしまうのは大きなリスクです。保守的にいることのメリットが無いと思うのです。

自分の心に従ってまっすぐに生きることが肯定される社会、一人ひとりの生き方がサンプルになる時代、これからはそうなっていくのではないでしょうか。

もちろん私自身も、その一つのサンプルになりたいと考えています。Morning Laboで働くことを決めたのも、その強い気持ちがあるからです。

そして年を重ねていく中で、その時々でしかできない経験をもとに、例えば結婚とか出産、育児なども含めて、人生のさまざまな場面を演出していける存在になりたい。今はまだその具体的な形までは見えていませんが、「素敵な思い出として形に残せる」写真は、やはり一つの大きなキーワードになっていくかもしれません。