城宝 薫 さん

城宝 薫 さん

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立教大学経済学部。株式会社テーブルクロス代表取締役。ソーシャル型飲食予約サービスアプリ「テーブルクロス」の運営

■ 城宝薫(じょうほうかおる)さんのこれまでの主な活動

○ 企業経営 ※インタビュー掲載後追加
株式会社テーブルクロスを設立し代表取締役就任
2014/12/19「テーブルクロス」サービススタート。
※「テーブルクロス」とは・・・飲食店を「予約」した人数分の給食が、貧困国のこどもたちの「給食」になる、ソーシャル型飲食予約サービスアプリの運営。【詳細はこちらから】
【BLOG】「食」で世界を繋ぐ 女子大生社長のブログ

※最近のインタビュー (2015/10/15追加)
・Huffpost Japan「利益の創造と社会への貢献が同時にできる文化」をつくります — 城宝薫さん(2015/10/13)
・Worlli 『利益の創造×社会貢献を実現できる文化を作る』テーブルクロス代表取締役・城宝薫さん (2015/7/11)
・My Eyes Tokyo「利益の創造と社会への貢献が同時にできる文化」をつくります (2015/5/28)
・JGAP 「途上国の子供たちに給食を提供する新ビジネスを立ち上げました!」 (2014/11/28)
・食べ残し0までの99のアクション【インタビューVol.5】テーブルクロス・城宝 薫さん (2014/11/16)


○ 学生団体
2012年4月 企業と提携して新商品開発を行う学生団体Volante[ボランチ]を創設 ※現在は継承済み

■ 城宝薫さんインタビュー

【1】「世界食糧デーフェスティバル」無事開催にこぎつけました

10月18日の日曜日、私たちの初の試みとなる「世界食糧デーフェスティバル」を開催しました。真っ青に晴れ渡る絶好の好天に恵まれ、予想以上に暑くて、すっかり日焼けしてしましましたが(笑)、そんなことも気にならないくらい、無事に開催を終えたこと、とてもホッとしています。おかげさまで5,300名にものぼるお客様にご来場いただくことができました。

まずはご協力いただいた、さまざまな企業の皆様、NPOや社団法人などの団体、学生団体の方々、全国から集まってくれたボランティアのみんな、そしてスタッフに、心から感謝を述べたいと思います。

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そもそも私が、このイベントを開催したいと思ったきっかけは、テーブルクロスという事業を推進する中で、国連関係者にお会いし「世界食糧デー」という存在を知ったことが発端です。私たちも食を通じて社会を考えるビジネスを展開しており、「この日の存在を少しでもみんなに知ってもらい、啓蒙のお手伝いをしたい」「より多くの人に、食についてあらためて考える機会を作りたい」そう考えたのです。

※世界食料デーとは?・・・国連が制定した世界の食料問題を考える日です。1979年の第20回国連食糧農業機関(FAO)総会の決議に基づき、1981年から世界共通の日として制定されました。詳しくはこちらから

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▲世界食糧デーフェスティバルの開催風景。インタビューの最後にさらに画像を多数掲載

今回は1日限りのイベントとして、葛西臨海公園をお借りし、海に向かった広い芝生の上で、出店ブースや企画ステージなどを設置しました。「まちエリア」「おうちエリア」「ちきゅうエリア」「せかいエリア」の4種類に分かれた36のブースでは、それぞれの個性にあった食べ物や展示、体験などを提供。ステージでも、韓国アイドルのステージや、上智大学のゴスペルライブ、ルー大柴さんのトークショ―、そして出店者紹介のコーナーなど、朝から夕方までフルにプログラムを実施しました。

私はこれまでに、学生向けセミナーなどで1000人規模の集客のイベントを開催したことがありましたが、今回のイベントはまた一段と規模が大きいですし、関わる方々も多い。会場も東京都が管理する公園ですから、そんなに気軽にお貸しいただける場所ではありません。

でも本当にありがたいほど、みなさんが協力的で、そしてたくさんの関心を寄せていただいて。それが今回の開催の最大の財産です。運営は学生中心に行っているのですが、ボランティアにははるばる東北から名古屋まで、全国から150名ほど集まっていただきました。

そしてスタッフの中からも「来年もまた開催しよう」と声が上がり、早くも来年を見越した動きが始まっています。

【2】起業して1年強。テーブルクロスのサービスをリリースして半年余り

先ほど触れたテーブルクロスという事業。これは昨年6月に立ち上げた、株式会社テーブルクロスという会社の核事業のことです。私はこの会社で、代表取締役社長を務めさせていただいています。

テーブルクロスバナー

テーブルクロスのサービスは、「社会貢献型グルメアプリ」と私たちは呼んでいます。グルナビのような飲食店予約サービスではあるのですが、お客様が、加盟している飲食店を予約すると、予約人数分と同じ途上国の子どもたちの人数に給食が届けられる仕組みになっているのが特徴です。

ユーザー1人が予約をする毎に、飲食店から(決済額に関わらず一律)180円の広告費が支払われます。そこから学校給食にかかる費用を拠出してWFP(国連食糧計画)などテーブルクロスが提携している9つのNPOを通じて、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、東ティモール、ケニアなどに給食が届けられることになります。

お店の方にとっては、集客ができる宣伝になると同時に社会貢献に取組めること。そして途上国の子どもの問題について考える機会を、お客さまやその他のステークホルダーとともに共有する活動になります。

そしてお店にとっては集客コストを下げることにも繋がっています。私たちのサービスは予約が成立して初めて費用が発生する完全成果報酬型です。月に100名の予約を受け付けて、負担は18,000円ですから、掲載課金のサービスに比べると大きくコストダウンできるのです。

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お客様の立場で見ると、自分の食事を通じて社会に役に立てることへの感動があります。みなさんとお話ししてみると「自分が社会の役に立っているということを、分かりやすい形で伝えられるのが嬉しい」という声をたくさんいただきました。さらに「エンジェルカウンター」を導入しており、自分がどれくらい貢献したのか(寄付した給食の数)が目に見える仕組みにもなっています。

日本人の社会貢献に関する意識調査を見ると「関心がある」という方が65%にのぼると聞いています。これほど裾野が広い世界なのに、まだまだそれを安定して回す仕組みは限られているのではないでしょうか。

私たちは、CSV(Creating Shared Value)という考え方、そして”利益の創造と社会への貢献を同時にすることで社会が良くなる”という意識が、企業・消費者いずれにとっても当たり前になる社会を、まずはこのテーブルクロスのサービスを入り口に、作っていきたいと考えています。

【3】起業を志すきっかけは、カッコ良かった祖父の存在

私がテーブルクロスのような事業を志向するようになったきっかけは大きく二つの経験です。いずれも海外に行った時の事でした。

一つは、7歳の頃に行ったインドネシア。そこでは当時の私と同じくらいの年の子どもたちが、ストリートチルドレンとして生活しており、その子たちの姿が幼い私の脳裏に焼き付いて離れませんでした。「その事実を知ってしまったからには、そこから目をそむけない。何とかしなければ」。そんな思い込みのような気持ちが、この時強く生まれました。

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もうひとつは私が高校1年生の時、生まれ育ったところの姉妹都市である米フロリダ州オーランドに、親善大使として派遣されたときのことです。ここではさまざまなNPO活動などを見る機会があり、ハッとさせられたのです。「社会貢献活動でありながら、利益を創造する考え方があるんだ」と。それまでは、それぞれが別物で、「企業として余力ができたら社会貢献にお金を使う」そんなイメージを持っていました。ですから、初めから社会貢献を実現するビジネスの形があることで、起業への意欲が一段と高まったのです。

そもそも私の起業志向は、小学校に入ったか入らないかの頃のこと。きっかけは祖父でした。いつも明るくて前向きで、その後ろ姿がとてもカッコ良くてすごく憧れていたんです。その祖父は会社を経営していて。ですから「社長になることはカッコいいこと」「おじいちゃんみたいな経営者になる」、そういう意識が当たり前に育ってきました。

「そのために何をしようか」と考えてまず取り組んだのが読書です。小学生のくせに「メンタルを学ぼう」と心理学の本とかを読んでいました(笑)。中学校の頃は、経営書とかマーケティング書も読み漁ったり。

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一方で、何か軸になるものを創りたいと習い事もいっぱいしました。陸上、サッカー、水泳などの運動系、そしてピアノ、吹奏楽、英会話など、かなりいろいろ。サッカーを4年、陸上は10年、水泳は13年続けていて、体力も負けん気も鍛えられました。

そして生徒会長をしていた時には、学内にカフェテリアを創ったり、OBOGの進路指導のプログラムを導入したりかなり頑張ったつもりですが、その原点にいつもあったのは「今をより良くしたい」「みんなに喜んでもらいたい」という気持ち。そういう行動的なところは当時からすごく強かったですね。

ただそれは何よりも仲間に恵まれていたからこそ育った意識だと思います。昔も今も同じように、夢とか悩みとか青臭いほどの真面目な話を真正面から語り合うことができる、そんな友達がいつも周りにいました。だからこそ自分が正しいと思ったことに真正面から向かって行けた。これは本当にありがたいことでした。

【4】「もっと日本には発信力が必要!」その思いで学生団体を設立

先ほどご紹介した、高校時代の親善大使の経験。これはもう一つ、私にとって大きな気づきがありました。それは日本人の発信力不足を痛感させられたこと。このとき私は、アメリカの小学校・中学校・高校などの教育機関を訪問する機会を頂いたのですが、アメリカ人の自主性、リーダーシップが日本人とは明らかに異なるという印象を受けたのです。

例えば、NASAのスペースシャトルやNASDAのロケットに大阪の町工場の部品が使われていたり、そういう日本の誇るべきことを私たちは殆ど知らない。 自分たちの立ち位置を理解することも世界に発信することも、いずれも大きくアメリカの人たちに見劣りしている、そう思いました。

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私は日本が大好きです。ですから、どうにかしてこの国を活性化していきたいし、もっとその魅力や可能性を多くの人に知ってもらいたい。そのために私ができることは何か考えました。そして出した答えが「もっと自分に発信力をつけること」だと。

そう考えると矢も盾もたまらなくなって、何か始めたいと。そこで共感してくれる仲間を探し、同い年10名で立ち上げたのが、学生団体「Volante(ボランチ)」でした。それが2012年4月のことになります。
「学生が持つリソースを有効活用することにより、 可能性が最大限活かされる社会の実現を目指す」。そんなコンセプトで立ち上がったVolanteでしたが、まずは手探りからのスタートでした。

最初に手掛けたのは6月の就活支援系のイベントです。テレビ局の方をゲストにお招きし、「メディアに興味のある学生大集合」と銘打ち、40名ほど参加いただきました。

これはこれで盛りあがったのですが、でも私たちが目指すべきものとはやはり少し違うんじゃないかと感じました。そもそも私が志向していたのは「日本の魅力を発信する力を持つこと」。そこで、メンバーで合宿して方向性を話し合ったりした中で出てきたのが、その後の中心的活動となった、商品開発やプロモーションのお手伝いです。

最初の取組みは、立教大学近くのパン屋さん。新商品の開発の提案でした。実際に本社にもお伺いして、具体的な味や形などの打ち合わせにも参加。とても光栄なことに、オリジナルの商品として販売されることになったのです。その後、スイーツ販売やカラオケの大手チェーンさんなどお話をいただく企業様も増え、私たちの活動も着実に本格化していきました。

活動エリアも、関西へ台湾へと広がり、運営規模も大きく拡大しました。そして今ではVolanteは学生団体ではなく、株式会社へと法人化。代表も後輩が受け継ぎ、また次のステージに歩みを進めています。今回の「世界食糧デーフェスティバル」も、Volanteメンバーみんなの活躍があってこそ実現したものです。

【5】笑顔で人が繋がり、お互いに成長できる関係を作っていけたら

起業とかビジネスとか、そういう話をしていると、「強く逞しい野心家」とか「ギスギスしてる」みたいなイメージになっちゃうかもしれませんが、日頃の私は「いつもニコニコ笑っている大学生」 (笑)

そして人を笑顔にさせるのが好き。そんなに凄いことはできなくても、「ちょっとアイデアを工夫して」「ちょっとした幸せを作る」のが得意なんです。いつも「これをすると誰がどう喜んでくれるだろう」そんなことばかり考えていてきました。

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笑顔って人を繋げる力がありますよね。ですから笑顔の相乗が生まれる関係を作っていけたらいいなって思うんです。ただそのためには、お互いが尊敬しあっていないといけないし、成長しつづけないといけない。自分と相手のアイデンティティがどう絡み合い共鳴し、広がりや深化を生み出していけるかどうか、そういう気持ちを大事にしています。

テーブルクロスのサービスも、私のそういう思いが詰まったもの。誰かひとりが得をするのではなく、関わるみなさんが幸せになれる、そしてみんなが意義を感じて頑張れる場所にしたい。

経営者になってまだ1年と少しくらいですが、学生団体の時とはまた違ったリーダー感覚を学んだ気がします。何よりもビジネスですから、継続して回していける仕組みを作らないといけない。ビジネスの核となる支援モデル、そして販売を支えてくれる営業モデル、そういう事業の骨格となる仕組み作りは当然初めての経験で、そこは本当に腐心しました。

でも結局は、覚悟を決めて突破していく精神力でしょうか。知らないことばかりですから、客観的に考えだしたら止まってしまう。ですからその前に動き出して、走りながら考える。そんなカタチです。

ただ一点思うのは、やはり「女の子(女性)である」ことの意識も大事かなということ。ワクワク、ドキドキそんな気持ちをいつも持つこと、そして好奇心を強く持って、自分らしい感覚を失わないように。

そういえば、経営者になって逆に学校の成績が良くなったんですよ。前期も単位は全て獲得し、一つ一つの結果もアップ。集中力や生産性が格段に上がってきていることを感じます。

今後、学生時代がもう半年弱ですが、最後の務めとして「CSV」に関する論文を書いています。これは私が目指すビジネスの原点となる部分ですし、将来の会社の成長に繋がるように、そしてもっと大きく社会のために、客観的に論理的に、しっかり自分のものにしたいと思っています。

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そして私にとって最大の核となるテーブルクロスのサービスですが、現在(2015/10/20)までに、25都道府県の約1000店に導入いただいています。ありがたいことに50社ほどパートナーになっていただいており、今年末には3000店舗導入を目指しています。

ダウンロード数は約3万件。現在サイトのリニューアルを進めており、完了次第さらに積極的に発信を行い、3年以内に120万人規模に持っていきたいと考えています。

これらの目標数字は、ビジネスとしてのスケール拡大もあるのですが、それ以上に「これくらいの規模感にならないと、本当に困っている人たちを助けられる環境は作れない」そういう思いが強いです。そしてその先には、飲食店に限らず、ホテルや美容やエンターテインメントや、「予約」が必要とされる領域にも同じ仕組みを導入していきたい。

もちろん目標にはまだまだたくさんのハードルがあると思いますが、多くの人が共感して後押ししてくれることを励みに、一つ一つ丁寧にビジネスを形作っていきたいと思っています。

「世界食糧デーフェスティバル」開催風景

世界食糧デーフェスティバル-1

世界食糧デーフェスティバル-10

世界食糧デーフェスティバル-4

世界食糧デーフェスティバル-2

世界食糧デーフェスティバル-3

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世界食糧デーフェスティバル-6

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世界食糧デーフェスティバル-7

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