市川 磨理 さん

市川 磨理 さん

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早稲田大学大学院 先進理工学研究科電気・情報生命専攻。理系女子大生コミュニティ凛の二期渉外局。「理系ナビ」表紙モデル

■ 市川磨理さんのこれまでの主な活動

〇大学ならびに大学院での研究
~ 学部生時代 ~
卒業論文のタイトルは「交通流予測によるスクランブル交差点信号の最適化」。コンピュータのシミュレーションを駆使して、最もスムーズに交通が流れる信号切り替えのタイミングを割り出す。
~ 大学院時代 ~
修士論文のタイトルは「時空間ネットワークを用いた小口需要家の最適電力運用計画」。小中規模のビルディングに太陽光発電システムと電気自動車を導入することを想定して、省エネルギー化、省コスト化を行うための電力の運用計画を作成する。

〇学生団体・学外
・大学二年生の夏から理系女子大生コミュニティ凛の二期メンバーに参加。渉外局担当、企業の窓口や取材/連携イベント担当など。
・「理工系学生交流会」の第3回から幹部スタッフとして参加。第2回の理系飲みは自らが主催。リバネス丸社長の協力を仰ぎ60名の学生を集めて開催。
・2012年夏に、「アントレプレナーシップ論講座」に参加。最終発表会のプレゼンターを務める。第二企業課題にて優勝、最終発表会にて企業賞を受賞。次年度以降、TA(ティーチングアシスタント)として運営に協力。

※2015年12月26日、近況スナップ数点追加(インタビュー末尾に掲載)

■市川磨理さんインタビュー

【1】幼児期のフルート教室での経験が、自分の価値観や行動に大きく影響

私のこれまでの学生生活を振り返ってみて気づくのは、終始「後輩のために何かできることを」という軸でずっと繋がっていることです。

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例えば中学・高校の頃は、敷地の一部に幼稚園があったので、運動会などの行事のお手伝いをしていました。また児童館もそばにあったため、夏休みの工作教室の指導もしていました。

大学に入ってからは、母校の高校の吹奏楽部でフルートのコーチをしたり、在校生と卒業生を繋ぐ場を創ったり、個別指導の塾では、小学校全教科、中学の数学・理科、高校の理科の授業を受け持ったり。また学外でも「アントレプレナーシップ論講座」のTA(ティーチングアシスタント)や、高校生向けの進学サイトの動画で先生役で登場したり、さらに院に進学後は、学部生のためのTAを担当するなど、さまざまな場所で、いろいろな形で後輩と接してきました。このように、私は人に頼られたり相談を受けたり、それに応えたいと思う気持ちが、非常に強いタイプのように思います。

とはいっても、家族では私は末っ子で、お姉さんとして育ってきたわけではありません。今の性格や考え方は、幼少期にフルートを習っていた時の経験が、大きく影響しています。

私は当時、人よりかなり体が小さい子どもでした。ですから、子ども用のフルートですら、重たいし手が届かなくて使いこなせませんでした。でも「お姉ちゃんと同じように頑張りたい」その私の思いを汲み取った教室の先生が、メーカーに掛け合って、さらにサイズの小さいフルートを独自に製作していただけたんです。

同時に、その幼児用フルートのモデルとして、教室のホームページや広告や週刊誌の記事など、さまざまなプロモーションの場で私が登場することになりました。そして、それを見て「磨理ちゃんみたいになりたい」とフルートを習いに来る子たちが増えたのです。

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ですから、まだ当時5歳くらいでしたが、「みんなの模範にならないといけない」そんな自負のようなものは、自然に備わっていき、「後輩に教える」ことも早くから経験することになりました。一方で、「頑張ろうという意欲に応えてくれる」そういう人たちがいることを知ったことで、感謝の気持ちや、「自分もそういう大人にならないといけない」という自覚も芽生えていきました。

【2】在校生と卒業生がより良い形で繋がっていく環境づくりを応援

これらの活動の中で、今も大事に続けている活動の一つに、母校の高校向けの進路イベントがあります。

私が通っていた高校は歴史が浅く、在校生と卒業生の繋がりがあまり強くありませんでした。同窓会もそんなに人が集まらず、同期の一部だけで集まっておしまいといった雰囲気がありました。でもせっかく同じ学校を卒業しているわけですし、みんな母校愛は強かったりするので、もっと繋がりを深める場所を作りたいと考えるようになりました。

とはいえ、卒業した人同士を繋げることはなかなか難しいんです。社会人だと仕事も忙しいし、知らない人同士の横のつながりにあまり必要性を感じてもらえなかったり。

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そこで考えたのが、在校生を軸に縦の繋がりを作っていくことです。例えば大学生なら、大学生活がどのようなものかを伝えたり、受験勉強の意義について語ったり。高校生にとって身近なようで実はなかなか実感が無い、具体的なテーマについて、在校生と卒業生で共有していこうと考えたのです。私自身、高校の部活のコーチもしていたので、そこで在校生のニーズを聞き出しながら、方向性を探っていきました。

一つ上の先輩がOBをネットワークするFacebookグループを作られていたので、そちらを基点に、2011年の12月から準備を開始。幸い、先生が非常に協力的だったため、順調に話は進み、翌年2月には実現への方向性が定まりました。

とはいえ、せっかくやるなら継続できるものにしたい。中途半端に後輩の進路のダメ出しになってもいけない。あまり進路に興味が無かったり部活が忙しかったりする人にも参加して欲しい、すると授業の時間に組み込む必要があるから、保護者の賛同が必要。その場だけで終わるのではなく何かの行動のキッカケになるものにしたい・・・

そんな希望や課題を調整しながら、6月の土曜日の3-4限、ホームルームの時間を使って、開催するところまでこぎつけました。高校一年生全員の約200名、先輩OB、OG(大学生)が約30名。かなりの規模になりました。

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もちろんただ集まるだけでなく、開催の前には生徒にアンケートを取って、悩みとか目標などを調べ、終了後のも同様に声を集め、学校にフィードバックしていく。そんな仕組みを作りました。

その後、昨年、今年と年に一回のペースで開催し、運営も今は後輩に引き継いでいますが、ここで関わった人同士が将来的にも良い形に繋がっていくように、より魅力的なネットワークが育っていくことを期待しています。

【3】解答を教えるのではなく「気付かせる」ことを第一義に

2002年からスタートした、東京大学工学系研究科の知財専攻の講座を母体にしたオープン講座で「アントレプレナーシップ論講座」というものがあります。理系の大学院生をメインターゲットとして毎年4月〜8月に開講され、かなりハードなプログラムが用意されていること、講師やTA(アドバイザー)など、全てボランティアが主体となって運営されていることなどが特徴の講座です。

私はこの講座に2012年に参加しました。理系女子大生コミュニティ凛の先輩でもあった、かなえさんに誘っていただいたのですが、とはいえ、もともと起業に興味があったわけではありません。

それでも参加しようと思ったのは、凛の活動を卒業し、何となく日々ぬるま湯に浸かっている感覚があったこと。もう少し厳しい環境に身を置き、もう一度自分の可能性に向き合ってみたいと思ったからです。またそれまで、企業訪問や社長インタビューに同行させていただく機会がたびたびあり、このような場で、ビジネスや企業について知ることで、それらの経験をあらためて自分の実感として掴めたり、今後もう少し踏み込んで社長のみなさんと話せるようになるのでは無いかといった期待もありました。

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講座は予想以上に大変で、途中で脱落していく人たちもかなり多くいました。私たちもその中でモチベーションの維持に悩んだりすることもありましたが、でも最後までやりぬいたことで、得られたものは多かったように思います。

最終発表会の時はトップバッターでプレゼンをさせていただきました。この時も音響のトラブルが有ったり、なかなか自分のペースで話しにくかった環境だったのですが、そういう中でもしっかり話し通せたことは、少し度胸やアドリブ力が付いた証拠かなと思っています。

翌年は、私は企業のインターンシップや研究に追われていたせいもあって、発表会のお手伝いをしたくらいで、深く講座に関わっていませんでした。しかし、その発表会の時、当時一緒に頑張ってきた仲間がTAとして頑張っている姿を見て、大きく取り残された感じがすごくしたんです。「あ。これはまずいな」って。そこであらためてTAとして参加させていただくことにしました。

このTAの存在は、講座の中で非常に大きくて、受講生が最後まで頑張れるかどうかに大きく影響してきます。ビジネスプランに対してアドバイスするのはもちろん、それ以上に、ムードメーカー的な色合いが強い存在なんです。受講生の状況をこまめに観察して、行き詰っていないか、チームが上手く回っているか、絶えず気にしてこまめに声をかけ元気づけたり、明るく楽しい雰囲気を作ったり。

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周りを見ていると、自分自身がものすごく忙しいにもかかわらず、求められる以上に気を使ったり、先手を打って助けたりするTAの先輩がたくさんいます。それはすごく刺激になったし、「魅力的な人」の在り方を考えさせられることにもなりました。

私自身としては、これまでさまざまな場で意識してきたのと同じように、「気付かせる」ことに重きをおいてきました。回答を出すのでなく、自分で結論を導き出せるように。いわば「トスを出す」感覚。また、選択肢はいろいろなカタチがあるということ、そういう可能性の広がりも伝えられればいいなと思っていました。

【4】凛での経験があったからこそ、その後の活動の広がりが生まれた

これまでさまざまな活動に携わってきましたが、やはり一番の原点にあるのは、理系女子大生コミュニティ凛での活動です。凛とは「少人数で閉鎖的になりがちな理系女子の視野を広げていこう! という思いのもと、2009年11月に有志の理系女子大生を中心に設立された団体」です。私は第二期のメンバーになります。

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実は凛に入る前の私は、大学の中にしか目を向けていなかったんです。ですからごく当たり前に「研究職として仕事に就く」イメージしかなく、他の選択肢は思いつきもしませんでした。

しかしもともと好奇心が強いタイプでしたし「これでいいのかな?」って。そう感じ始めたころ、ネットで凛の存在を知り、連絡してみたのです。この時、相談にのっていただいたのが、先ほどもご紹介したかなえさんです。ですから私にとって、かなえさんは非常に大きな存在ですね。彼女が親身になっていただけてからこそ、一歩踏み出すことができ、凛に参加しようと決断できたわけですから。

凛の活動は、企業へ取材に行くこと、理系女子向けのイベントをすること、フリーペーパーを発刊することの大きく3つ。私は主に、イベントの運営に関して、ゲストの方との調整や打ち合わせなどを行ってきたのですが、ここでの経験がさまざまな形で、自分の可能性を広げることになりました。

例えば、母校の同窓会の開催をしようと思ったことも、凛でイベント運営を経験したからですし、「理系飲み」というイベント(コミュニティ)立上げも、ゲスト、理系学生側ともに、ネットワークが広がってきたからこそできたこと。

そして何といっても、メンバーがみな仲良かったことが一番の財産ですね。スタッフそれぞれに個性があり、お互いに尊敬しあっていて、言うことは言うけど、相手も立てるといった、お互いの関係がすごくバランスがとれていました。団体の活動時だけでなく、プライベートでも頻繁にご飯を食べたり、遊びに行ったりしていましたから。こういう素敵な仲間と過ごせたことはとても大きな財産です。

ちょうど当時は、理系女子に注目が高まってきた頃で、例えば取材では、どの企業も非常に快く取材に応えていただけ、いろんな人や会社や仕事を知ることができました。またメディアやイベントで声をかけていただくことも増え、ファッション誌の「Cancam」にも、理系女子特集として何名かの凛メンバーとともに登場させていただきました。

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ただ一方で、多くの人にとって理系女子はまだまだ特殊なイメージを持たれているのかなと思うことも少なくありませんでした。例えば理系学部の女子大生を全て一括りにして、「ちょっと特別な存在」みたいに表現されることが多かったり。

「文系と理系」と単純に分けられないくらいに、理系にはたくさんの学部があり、研究内容もさまざま。一人ひとりが学ぶべきテーマを持っています。それをひっくるめて、ひとつの方向性に持っていったりするのは少し厳しいんじゃないかなあと。もちろん、理系女子だったからこそいろんな活動の場をいただけたわけなので、感謝の方が多いのですが、でもだからこそあえて、「一人ひとりの多様性」にも着目してほしいと感じています。

私は今でも、純粋に理系を進路に選んでよかったなと思っています。理系の学問で学ぶことは、就職して社会に出たら使わなくなってしまうことが多いかもしれません。でもそれは無駄ではなくて、だからこそ「大学の間にしっかり学ぶ」価値があるのだと思っています。自分が興味のあることに忠実に学びを深めていく。それこそが「大学生だからこそできること」のはずですから。そして予想外のところで、その発想や着眼が役立ったりするのも面白かったりします。

そんな理系の魅力、そして学ぶことの楽しさを、後輩や社会に伝えて行ける機会を、これからも作っていければ嬉しいですし、春からお世話になる教育系の会社でも、何らかの形で今の思いをかなえる機会を作っていきたい。

そして「教える-教わる」、「伝える-受け継ぐ」など、人と人、今と未来を繋ぐさまざまな関係をより魅力的に膨らませることで、これまでお世話になった多くの方への感謝を返していく。そんな力を持った存在になれたらと強く願っています。

■近況スナップ(2015年12月)

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メディアでの紹介リンク

・Rikei Plus+ りけいのたまご 「人に感動を与えるモノ作りをしたい!」
・理系学生向け情報誌 「理系ナビ」の表紙モデル
・CanCam2011年11月号「理系女子特集」対談記事登場
・「マイナビ進学TV」の学問CH(動画)講師 「科学の原理や本質を学ぶ」 「モノづくりと技術を学ぶ」
・「ハピ☆テク」未来研究所2013年度版インタビュー
・社食.com「企業取材レポ-ト」JFEエンジニアリング取材同行記
「待ち合わせ美女」モデル

・ダイヤモンド経営者倶楽部「ビジプラ」にて経営者インタビュー、企業訪問など
 タニタ食堂訪問&きちり社長インタビュー
 植物工場訪問&リバネス社長インタビュー
 ケーキ作り体験&アニバーサリー社長インタビュー
 かまぼこ作り体験&鈴廣企業訪問インタビュー
・・・など多数。