山田 璃々子 さん

山田 璃々子 さん

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慶應義塾大学環境情報学部。学内キッチンカー「あったまる」運営。「FRESH CAMPUS CONTEST2019」ファイナリスト/テレビ朝日アスク賞

■これまでの主な活動

~学外の活動~
・学内キッチンカー「あったまる」企画・運営 (2019年10月~)
・「FRESH CAMPUS CONTEST2019」ファイナリスト/テレビ朝日アスク賞
 (フレキャン2019SHOWROOMファイナル審査 5位)(mystaファイナル審査 2位)
 MISS/MR COLLECTION 2019 in テレ朝夏祭り出演
・おかやまJKnote 設立2周年記念イベント「JK Fes Vol.1」トークゲスト

~学内の活動~
・茶道部(2019年4月~)

~メディア紹介履歴~
・「8cross」 人々の心に温かさを灯す。志を具現化すべく挑戦を続ける山田璃々子の「和」への追求 
・「美女景色」山田璃々子 

■山田璃々子さんインタビュー  
                                 

【1】食事の場の提供だけでなく、人の輪を生み出す空間をつくりたかった

4月から構想を温めていた学内キッチンカー「あったまる」は、多くの方にご協力いただき2019年10月からスタートすることができました(※10~11月はトライアル。正式出店は12月から)。オープンは月に2回、朝の時間帯に慶應義塾大学のSFCキャンパス内にて営業しています。

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「あったまる」という言葉には二つの意味を込めています。一つはストレートに「心身があったまる」という意味、そしてもう一つは「輪」を〇(まる)に引っ掛けて、「気づいたら知らない間に人の輪がうまれていた(〇があった!)」、そんな縁をつなぐものでありたいと考えたものです。

キッチンカーを始めようと思った背景も、この二つのキーワードそれぞれに意味があります。

「朝ご飯をつくる時間がない」「一人暮らしを始めてなかなか朝ごはん食べなくなった」、大学に入学した後、こんな話をよく聞くようになりました。そういう方たちに、しっかり栄養をとれる場を提供して、せわしない朝のひと時にホッと一息つける場所を提供したいと思ったこと。

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そしてこれは、私自身がけっこう切実だったのですが、クラス分けされていた高校生時代とは違い、大学に入ると「決まって顔を合わせる関係」というのがありません。気づくと、誰とも話をせずに一日を終えて家に帰ってくることも珍しくないことでした。

最初は、「まだ1年生なんだから仕方ない」と割り切っていたのですが、先輩からも同じような話を聞くことがあり、それが当たり前になってしまうのは嫌だなと。

もちろんゼミやサークルなど、人が出会い集まる場所はいくつもあります。ただこれらは、目的や興味を共有している人たちの集まりで、高校までのクラスとは少し違います。食事の提供という意味では学食もありますが、これも一人か仲のいい限られた人と食べるのが普通です。私はもう一つ、「もっと何気なく偶然に」出会う空間があってほしいなと思ったのです。

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実はキッチンカーへの関心は、かなり以前から持っていました。高校の少し上の先輩で、大学時代からキッチンカーをしている方がいられて、その方の活動に憧れていたからです。

そしてふと、キッチンカーこそ日ごろ感じていた課題を解決できる手段になるのではないかと、その二つが結びついたのです。キッチンカーであればドアも壁もありません。非常に開放的で誰でもふと立ち寄ることができます。空間の雰囲気を外に伝えることもできます。食事という当たり前の日常の一コマだからこそ、みんなの行動のルーチンの中に組み込みやすいはずだと。

そして「こういうことがしたい」といつも周りに言っていたら、「ほかにもキッチンカーに興味を持っている子を知っているよ」と友人を紹介され、一緒にやってみようということになりました。

【2】関心がない人のことを考えるより、来たいただいた人の満足が先にあるべき

もちろん、私たち自身でキッチンカーを調達できるわけではないため、昼を中心とした営業をされている方に、朝だけ日時を決めてお借りすることをお願いしました。大学内の許可もいるため、コンセプトをしっかり説明して、多少時間はかかったのですが、夏休み頃に承認をいただきました。そして衛生管理者の資格も取りに行ったりして、着々と準備を進めていきました。

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トライアルとしての初日は、スープを中心としたメニューをお出ししました。結果はありがたいことに見事完売でした。朝ごはんを買ってもらうことよりも場が育つことを重視し、売り込むのはやめていたので、まさか完売するとは!と驚きました。

あったまるのSNSをみて、大学生に限らず院生の方やSFCの職員の方、SFCを志望する高校生が親御さんとともにいらしてくれたことも素直に嬉しかったです。偶然の出会いに溢れていて話にお花が咲いていたこと、大自然の中での出店ということで今日も1日頑張るぞ!と思えるような爽やかな朝になりました。

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その後、フレンチトーストをお出ししたり、直近では美味しい珈琲を提供いただける会社にご協力いただいたりするなど、絶えず試行錯誤しながらより良い形を考えています。大学関連のイベントに呼んでいただける機会も増え、12月14日の「DevFest Tokyo2019」では、1000杯ものお飲み物を提供させていただきました。

学内では、学生だけでなく先生方にも立ち寄っていただけるようになりました。人数的にはまだまだですが、少しずつお客さまも増えてきました。営業時間の大多数が授業時間というネックはあるのですが、それでも12月の最終営業では、用意した食事が全部売れきれました。

ただ一方で、継続的なプロジェクトと考えると、課題は非常にたくさんあります。その一番が、訴求力が今一つ弱いことです。もう少し多くの方にリーチできるつもりでいたのですが、そこはまだまだ力不足です。

そもそも私たちのコンセプト上、あらゆるすべての学校関係者が対象であり、マーケティングという概念が足りなかったことがあります。ただ「予期せぬいろいろ人との出会いを生み出したい」という姿勢は変えたくなく、その幅広さと絞り込みの両立は悩みどころです。

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その一方で、必ずしも「人が集まるだけで、あったまる対話が生じる」というわけではないため、場を助けるあったまる企画を考えようという改善点も生まれました。

もう一つ難しいなと思ったのは、朝食というサービスコンセプトは「朝ご飯をしっかり食べられない人のため」にあったのですが、実際には「朝ご飯を食べる習慣がある、もしくは余裕がある方」がお客さまの中心で、考えていた理想とはかなり違うということです。

ただこの点は、やっていくうちにだんだんと分かってきた気づきでもありました。関心のない人に必死に伝えようとしても、それは私たちの押し付けに過ぎず、決してその声は届かないということを。

それよりも来ていただいた人に、どう満足を届けるかがすべての前提にあり、それがしっかりできた結果、届かなかった層にもリーチできるようになっていくのではないかと。

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高校の時に開催していたいくつかのイベントでも、「伝わってないままだな」と感じることはよくありました。ただ当時は、それで仕方がないと諦めていたのですが、今は事業というほどではないにせよ、「続けることが前提」で進めていますから、現実的な形で理想に届く方法をしっかり考えていく必要があります。

このようなことは、過去にいろいろな方からアドバイスをいただいていたのですが、やっぱり自分たち自身でやってみて、直面してみないと分からない。その点では、以前より少しは成長できたかもしれません(笑)

【3】「Well Being」が充填できるガソリンスタンドのような存在に

このように、私たちは絶えず試行錯誤の繰り返しの日々ですが、ありがたいのは一緒に活動する友人も、流されることをよしとしない性格なこと。

「そもそも、あったまるって何のために始めたんだっけ」から始まり、「私たちが提供すべき価値は何だろう」「朝ご飯を食べてもらうのがゴールでいいんだっけ」などと、たえず何が一番意義があるのか、楽しいか、やる意義があるかをお互いに考え続けている。そしていっぱいクエスチョンを投げると、しっかり受け止めて返してくれる。そういう人がいてくれるのは、すごくありがたいです。

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そうやって話し合いながら思いの奥を突き詰めていくと、「多様性へのアプローチ」みたいなものがキーワードになってくるのかなって思っています。

社会にはいろんな個性を持った人、面白い人がいっぱいいる。そういう一人ひとりの思いを大切にしながら、「多様性を受け入れ、多様性を発信するハブ」になることができないかと。

一方でそれは、「安全基地」という概念にもつながってくるかもしれません。「あったまる」を通じて新たな人と出会い、新しい挑戦をしたくなる。そして「あったまる」に戻ってきて、報告をしたり相談をしたり、頑張り続けることのエネルギーや安心を得られる場所になれたら素敵ですよね。

いま考えると恐れ多いのですが、私は大学入試の時の志望理由書にこんなことを書いていました。「人の好奇心がどういうふうに育ってきて、どのタイミングで光るのか。そのメカニズムを解析したい」と。ですからベースになる考え方は、そのあたりにあるのかもしれません。

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今後の一つのポイントになるのは、新たな掛け算の着想かなって思っています。「あったまる」自体が、食事という掛け算を通じた空間づくりなのですが、もっと人の心を引き付けるフックをつくっていかないといけないなって。人に自分の価値観を押し付けないように、でも私たちのメッセージもしっかり届くようになるように。

目指しているポジションは、ガソリンスタンドのイメージ(笑)。「あったまる」に立ち寄って、「Well Being」な気持ちを充填して、笑顔でスタンドを出ていくような。

【4】絶対的な自分を見つけるために「フレッシュキャンパスコンテスト」に応募

大学に入ってからの1年弱を振り返ると、もう一つ大きな軸になったのが「フレッシュキャンパスコンテスト」への挑戦です。これは「日本一の新入生を決める」をコンセプトにしたミスコンで、全国の大学から多数の候補者が集まり、およそ半年間かけて進められたプログラムになっています。

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ミスコンに応募すると「将来はアナウンサーになりたいの?」とよく聞かれます。決して全部は否定しませんが、現時点では私自身、将来の職業について明確に「こうなりたい」というものは決めていません。少しわかりにくいかもしれませんが、私の応募動機は「絶対的な自分を見つけるため」というものでした。

これまでずっと私は、他人の評価を気にしながら生きる傾向がありました。ミスコンに出たら、それこそ毎日毎日が人の評価にさらされるわけですが、だからこそ揺らぐことがない自分を見つけ出せるのではないかと思ったのです。

もちろん初めは戸惑うことばかりでした。SNSの配信の課題も頻繁にあり、「この世界はいったい何だろう?」という不思議な感覚でしたが、よく分からないながらも「絶対続けること」を前提に置きました。そして「だったらまず自分自身がしっかり楽しもう」と考えました。

初めは視聴者の人も「ミスコン応募者の一人」くらいの認識で来られた人ばかりでしょうが、少しずつ私の姿勢を理解していただけたようで、私が自然体で楽しんでいることを楽しんでいただける、そんな素敵な関係が育ってきました。その点を考えると、今回私は抜きんでてファンの方に恵まれていたと思います。

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考え方の起点は、まずは自分がしっかりあること。自分を主語として話すこと。でもそれだけでは終われません。普通だったら出会えない人と出会い、時間を共有していく、ある種団体戦のようなもの。であれば、皆さんと一緒の時間を楽しく過ごせることが何よりも大切。この点は「あったまる」のなかで学んだ、「来ていただいた人の満足が優先」という感覚に通じるものがあります。

もちろん結果が出なかったときは悔しいし、予選の途中で締め切り直前に1位から転落した時には泣いたりしたこともあります。

でも冷静に考えれば、そこまで応援してくれた方々がいるということ。悔しんでもいいけど嘆くのとは違う。まずは感謝すること、ありがたいと感じること。そういう考え方が持てるようになったことで、「(周りの評価に揺るがされることのない)絶対的な自分」が少しずつ見えてくるようになりました。

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私は大学ではお茶のサークルに入っています。入り口は「和菓子が大好きだった」という不純なものですが(笑)、活動はガチです。

そこで一つ気づいたことがあります。私の求める多様性へのアプローチは、お茶にヒントがあるのではないかと。

紅茶やウーロン茶、緑茶など、世界にはいろいろなお茶がありますが、これらすべては同じ茶樹が原料です。これってすごく不思議なことで、この多様性の広がりと定着はすごいなあって思うんです。今はまだ「だから何が分かったの?」って聞かれても答えられないのですが(笑)、そういう一つひとつの歴史や文化を遡ることで、見えるものはまだまだたくさんある気がします。

いろんなことに興味を持ち、小さくてもいいからたくさんの柱を立てて走り続けるのが、私らしさ。その中で、何かしっくりくるものが見つかればいいかなって、じっくり構えていきます。今のところ、柱にしていきたいキーワードを「和み」に置いていて、まずは「和みをデザインする」力を身につけていきたいと思っています。